3-1.ワックスについて その1

 スキーオリエンテーリングやクロスカントリースキーの大会に参加すると、会場付近あるいは宿でスキー板にワクシングをしている様子を見ることができます。ワクシングは、クロスカントリースキーの技術とともに、滑走する上では非常に重要な要素のひとつです。せっかく技術が向上しても、板面の滑走性が悪ければ、スピードに乗ることが出来ません。初心者の方は、ワクシングをしても技術が無ければあまり変わらない、なんて思っているかもしれませんが、よく滑る板で練習したほうが、当然技術向上も早くなりますし、悪いフォームになることも防げません。このページをよく読んで、まずはワクシングに関するいろはを身につけましょう。

( ワックスに関する記事は、筑波大学卒の若井広太郎氏に御協力いただいております。)

1. はじめに

 今日クロスカントリースキーに限らずスキー競技全般において、ワックスの技術はとても重要視されています。たとえ日ごろのトレーニング、大会前の調整が上手くいっても、当日のワックスで失敗したために自分の力が出せないケースは、トップレベルの選手でも良くあることです。そのためトップレベルの選手達は、「ワックスマン」という専門家をサポーターとしてつけ、失敗しないような体制を整えているのです。 

 しかし、ワックスの重要性は何もトップレベルの選手に限っていえることではありません。ワックスを含めたスキーの手入れの技術や、ワックスの選定技術を身につけることによって、スキーが長持ちしますし、スキー技術も向上します。昔スキークラブの先生は、「上手くなりたければ滑るスキーで練習しろ」と言っていました。きっと「スキーが滑る」→「気持ちいい、楽しい」→「たくさん練習する」→「技術が向上する」ということなのでしょう。確かに下り坂でライバルを一気に抜きさる快感は、スキーが滑っていないと出来ないことですよね。 

 このマニュアルは、初めてスキーを履く方でも理解できるように注意して書きましたが、もしかしたら専門的な用語等があるかもしれません。そのような時は、身近にいる「物知り」に聞いてください。この世界、「聞くは一時の恥じ、聞かぬは一生の恥じ」ですから。