アジア選手権終了!団体は全クラスで入賞を果たす快挙!

 香港で開かれているアジア選手権、最終日26日は国別対抗ミドルリレーとなります。
各クラスに各国2チームが出場でき、成績が良いチームが国の順位となります。
日本チームは以下のメンバーで挑みました。
M21E
 堀田―上島―結城
 寺垣内―尾崎―谷川
連覇中のM21E、1チーム目はエース結城を軸に、1走に安定感のある堀田を起用、2走には前日アジアチャンプを勝ち取った若手のホープ上島を据える、盤石の布陣に。
一方、2チーム目は、国際経験豊富な3人に任せることにしました。
W21E
 盛合―高橋―勝山
 出田―山岸―加納
W21Eは、1チーム目はアジアチャンプの盛合を一走、アンカーは前日2位の勝山、そして2走には、今大会はまだ結果につながっていないものの、走りに定評のある若手の高橋を抜擢しました。そして2チーム目は、スプリント日本人最高位で安定感のある出田を1走、国際経験豊富な山岸を2走、そして前日3位の加納をアンカーに据えました。
またジュニアチームは、以下の布陣で臨むことになりました。
M20E
 大石―北見―小牧
 片岡―椎名―中村
W20E
 宮本―青代―伊部
 佐久間―古谷―佐藤
M18E
 寺嶋―森清―祖父江
 福室―清古
W18E
 古田島―丸山―落合
 このうち、M18Eは国沢が前日のミドルで膝を負傷、歩くのもやっとの状態だったことから、代わりに寺嶋を1走に起用することになりました。
 リレーのコースは、香港らしいオープンの山を駆け抜けるスピーディーな展開となると予想、フィジカルで押してくる中国や地の利がある香港に走り負けないこと、一方でテクニック的には勝っていることから、落ち着いてナビゲーションに集中することを徹底しました。
 さて、こちらがリレーコースです。
●M21E
Relay-M21E.jpg
 オープンの森はありますが、やぶの中のわかりにくい道をたどる部分も多く、一方でコントロール位置は道の上か道から見える場所に置かれ、アタックの必要がないコース。
なかなか日本ではないタイプに多くの日本選手が苦しめられる展開になりました。
 M21Eでは一走の堀田と寺垣内が出遅れてしまいます。
 トップは中国、そして間を置かず伏兵カザフスタンが31分台でチェンジオーバー。
堀田が現れたのはその2分後で33分。途中まではトップ中国のすぐ後ろ、カザフスタンや香港と集団になり落ち着いたレースをしていたそうですが、中国を追うべく集団の前に出たところでミス、差をつけられてしまったとのこと。やはりやぶの中の道が見つけにくく苦戦したそうです。
 そして第2チームの寺垣内が現れたのは堀田から5分後の38分。トップとは約8分の差となってしまいました。寺垣内もなれないとテラインに加え、複雑なコースに別のコントロールへ向かうなどしてしまったとのこと。WOCの1走などの経験も豊富な寺垣内にしてはらしからぬレースでした。
 ところが続く2走でさらなる波乱が。
 トップで現れたのは、やはり中国。2走も32分と安定した走りでトップをキープします。それから遅れること2分、2位で現れたのは、アジアスプリントチャンプの尾崎!
この日最速の26分台と他の選手を5分以上上回る圧倒的な走りを見せてくれました。
8分差を2分差まで縮めて、3走の谷川に望みを託します。
 一方の第1チーム2走の上島は藪のトラップにかかってしまい42分と残念なレースに。この段階でトップと13分差、優勝争いから脱落してしまいました。
 そして迎えたアンカー勝負、先に表れたのは、残念ながら中国。
 3走も32分台と一度もトップを明け渡さない盤石の走りで、6年ぶりにアジア王者を奪還することになりました。
 2位は日本の谷川。全体3位となる31分台の走りで、40秒差まで迫りましたが、わずかに及びませんでした。ゴール手前で中国をとらえましたが、走力差があり、追い抜くことは難しかったとのことで、残念です。
 そして3位はカザフスタン。カザフスタンは今大会通して初めてのメダルに輝きました。
 第1チーム3走の結城はカザフに遅れること4分の4位でフィニッシュ。今年度、全種目で全日本チャンプとなった結城、今大会でもエースとしての活躍が期待されましたが、残念ながらメダルを獲得することはできませんでした。これがアジアの洗礼というものでしょうか。
1. 中国-1 Liang Xiaomi-Liang Xiyuan-Liu Xiaoming 1:36:44
2. 日本-2 寺垣内-尾崎-谷川 1:36:56
3. カザフスタン Dauit Zhanbolat-Lukashevich Vitaliy-Denis Vlassov 1:47:33
4. 日本-1 堀田-上島-結城 1:51:04
Relay-Hotta.jpg
Relay-M21E-PG.JPG

(C)orienteering association of hongkong

●W21E
Relay-W21E.jpg
 続いてW21E。1走トップで現れたのは、前日アジアチャンプに輝いた盛合。期待に応えて35分台、トップで2走の高橋にタスキをつないでくれました。続いて20秒差で中国が続きます。3位も2分遅れで中国、そのすぐ後に香港第2チーム。日本第2チームの出田はトップから4分遅れで2走の山岸へ。
 ところが日本第1チームの高橋が思わぬブレーキに。「緊張はしていなかったが、もともと道をたどるのが不得意。藪の中の地図に載っていない道に惑わされてしまった」とのことで、60分のタイムを計上し、6位になってしまいます。
 2走トップは36分台で中国、第2チームも3分差で追いかける展開。3位は、香港第1チームがさらに3分差、日本第2チームの山岸はトップと約8分差とやや差を広げられながらも、4位で加納へつなぎました。
 そしてアンカー。トップで帰ってきたのは、やはり中国チーム。38分とタイムはやや落ちたものの、安定した走りでトップを守り、男子に続き2012以来の王者奪還となりました。
 そして2位に滑り込んだのは、日本第2チーム。加納が全体でもトップとなる34分台をたたき出し、中国第2チームを抜き去り、トップにも4分弱まで追い上げる見事な走りを見せてくれました。
 第1チームのアンカー、勝山もふるわず41分台でのゴール、チームとしては総合6位となりました。
W21E
1.中国-1 Zheng Jiayi-Long Shuan-Yang Yang 1:50:59
2.日本-2 出田-山岸-出田 1:54:39
4.香港-2 Leung Ka Ki-Yee Sze Wing-Chan Pui Fung 2:06:01
6.日本-1 盛合-高橋-勝山 2:17:11
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 ジュニアユースクラスでは、男女とも奮闘を見せてくれました。
●M20E
 M20Eは、一走の大石、片岡がトップとトップ中国と6分差の3位4位と出遅れたものの、第1チーム2走北見が中国を抜きトップに立ちます。ところが中国3走が出色の走りを見せ、小牧もチーム1のタイム28分台で走ったものの、最後は1分差の2位に。第2チームは4分差の4位に終わりました。
1.中国-1 Tang Xiao-Huang Yi-Hu Yaowen 1:27:24
2.日本-1 大石-北見-小牧 1:28:41
3.香港-1 Li Chun Ho-Shi Tchi Thei-Yutsz Fung 1:28:55
4.日本-1 片岡-椎名-中村 1:31:40
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●W20E
 そしてW20Eは第1チーム1走の宮本が鼻に枝が刺さるというアクシデントに見舞われながらも2位に10分差をつけるトップ、続く青代、伊部も堅実な走りを見せ、2位に20分差の大差で見事、優勝!
1.日本-1 宮本-青代-伊部 1:48:09
2.中国-1 Wu Qian-Yezi Yun-Li Yong Yu 2:08:23
3.日本-2 佐久間-古谷-佐藤 2:46:31
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Relay-Miyamoto.jpg
●M18E
 さらにM18Eでは、1走の中学生、寺嶋、福室が29分台と、同じコースだった20Eの日本チームを上回る快走で1位と2位で2走へ。第1チーム2走森清も29分台、そしてアンカーの祖父江は28分台で一度もトップを譲らずに優勝となりました。ちなみに彼らのタイムは、同コースの20E優勝の中国チームをも上回っており、日本若手のポテンシャルを見せつけた形となりました。
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1.日本-1 寺嶋-森清-祖父江 1:27:13
2.香港-1 Wong Tszch-So Ka Wang-Wong Cheuk 1:29:50
3.中国-1 Wang Xingyi-Peng Yu Anpe-Zhou Hongc 1:37:25
日本-2 福室-清古 Disq(3走未出走)
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●W18E
 最後にW18Eも古田島、丸山、落合が堅実な走りを見せ、3位入賞。これでAsOC団体戦は全クラスで入賞を果たすことになりました。
1.香港-1 Wong Yisha-Leung Heitu-Chu Ying Yau 1:57:55
2.中国-1 Ye Qi-Huang Xinfe-Liang Haisha 1:59:33
3.日本-1 古田島-丸山-落合 2:52:35
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以上で今回のアジア選手権、全種目を終えました。
 トータルで、金8 銀7 銅6と、合計21のメダルは、出場国中、最多となりました。今回のアジア選手権では、中高生の活躍、ジュニア世代の奮闘ぶり、そしてシニアでも特にアジア遠征が豊富なベテラン勢の活躍が目立ちました。
 一方、団体MW21Eで連覇が途切れるという結果となりました。中国が着実に各世代で進歩を進める中、いつまでも日本がアジアの盟主ではいられないこと、特にスプリントでは、アジアの中でも後進国になりつつあることが浮き彫りになりました。
 ここ数年で日本の競技レベルも進化しているのは間違いありませんが、世界の進歩も負けず劣らず進んでいます。特にアジアの戦いは、アジアでしか経験できないような難しさがあると、選手たちも実感したと思います。
 海外から日本に訪れる選手も増えつつある昨今、日本選手も国内だけでなく、積極的にアジアに出かけ、経験を積み上げることが求められていると感じました。
 来年は日本ではじめてのアジアジュニアユース選手権が開かれます。そして2年後のアジア選手権はお隣の国、韓国です。アジアの扉はこれからますます開かれていきます。
みなさんもぜひ、次回は現地に足を運んでいただき、直接日本チームの活躍を目の当たりにしてください!
 今回もブログをご覧いただきありがとうございました!
 今後とも日本チームへの応援、よろしくお願いいたします。
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(日本代表チームオフィシャル 寺嶋一樹、貴美江、村越久子、国沢五月)