地方会員へのサポートをお願い致します

地方会員の現状

 日本オリエンテーリンング協会(JOA)は、都道府県を単位とする正会員から成り立っています。現在37の都道府県が加盟しており、これに加えて日本学生オリエンテーリング連盟と日本デフオリエンテーリング協会が正会員です。この各都道府県協会(以下県協会と略します)の運営、維持が困難になってきているところが、大都市圏やその近郊を除くと増えてきています。
 以前から県協会は、多くの人のボランタリーかつ献身的な努力で支えられてきました。しかし、特に競技人口が少ない地域では、支える人の高齢化が進み、県協会組織の維持が難しくなりつつある一方で、収益を上げるようなイベントを開催することも財政的な面からままならず、それによる活動の停滞という悪循環に陥っている状況です。
 JOAの取り組みとしては、地域活性化支援金の交付などを行ってきましたが、そのための事務手続きすら困難な県協会もあるようですし、またその資金源にも限界が見えてきています。過去においては、個人レベルの頑張りで維持、活動してきたところもありますが、個人の力では限界があります。各県協会の維持には多くの方々の力が必要ですので、改めて多くの皆様のご協力をお願いする次第です。

地方会員組織がなくなると

 県協会がなくなってしまうと、その地域でオリエンテーリングのイベントを開催することは、地元交渉などの面から極めて難しくなります。参加できるイベントがないと、オリエンテーリングを知る機会が無くなりますので、新しい人が育ちません。
 また、日本のスポーツ界においては、多くの場面で都道府県という行政区域単位で話が進められますが、例えば大きなマルチスポーツイベントの企画があったとしても、受け皿がなければそれにオリエンテーリングが参画することがほぼ不可能になってしまいます。県協会の組織がなくなってゆくことは、単にJOAという組織、会員数の維持という問題だけではなく、日本でのオリエンテーリングの衰退につながります。
一方、参加者・競技者という立場から見ると、地方にはまだまだ魅力的なテレインがあると思われますし、未知のテレインを走ってみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。そのためにも地方の県協会の喪失は何としても避けたいところです。

考えられる対策

 この現状に対して、JOA地域活性化委員会ではいくつかの対策案を検討しています。課題としては、人的な支援対策と、金銭的な支援対策が大きなテーマですが、地方行政や教育界とのかかわりも大切であると考えています。
   1)集まって楽しむ場を作る。
人手をかけずに楽しめるフィールドの確保と集まる機会(大規模でなくともよい)の創作。そのための青少年向け野外活動施設との協力やパーマネントコースの見直し。
   2)人的ネットワークを作る
競技者登録者への情報発信。ブロック単位での共助。全日本リレーなどを利用した人的交流の促進。
   3)資金的バックアップ
支援したい県に競技者登録費を納める「ふるさと納税」制度。支援基金の設立。地域やブロックを支援するための大会を人口の多い地域で開催する。JOA会費のあり方の見直し。
他にもさまざまな方法があるかと思います。皆様からのアイデアを募集したいと思います。

積極的なサポートのお願い

 オリエンテーリングの愛好家の皆様には、改めて地方会員組織の活性化に向けてのご協力をお願いしたいと存じます。
 まず出来ることは、地方の大会に参加することかと思います。練習会として、あるいは観光がてら、未知の地方のイベントに出てみてはいかがでしょう。魅力的なテレインが待っているかもしれません。
 そして、可能であれば皆様がお持ちの技術、ノウハウ、さらにその大元にある情熱を各県協会の活性化のために提供していただけないでしょうか。県協会組織も世代交代を進めてゆく必要があります。特に若い皆さんには、出身地であるかどうかにかかわらず、興味を持った地域の協会の方に積極的に声をかけていただき、その地域のオリエンテーリングに参画していただけることを期待いたします。

令和5年2月
                       JOA副会長 愛場庸雅
                       JOA地域活性化委員会 委員長 新帯 亮