WOC2012各種目の特徴
観戦の参考までに各種目の特徴を紹介します。
スプリント
観客がじかに観戦できるということで、エリート大会ではいまや花形競技となっている。スプリントというと公園を思い浮かべる方がおおいと思われるが、現在の主流は街スプリントである。
高速でのナビゲーションと、いかに通過禁止の場所を避けて最短のルートをみつけるかが課題である。足を止めて地図を読むこともときには必要である。
パッと見てすぐベストルートが決まってあとは走るだけというコースはスプリントのコースではない。ハイスピードの競技のため競技時間も12-15分と厳密に決められている。
一方運営側にとっては最も神経を使う競技である。ここ数回の世界大会でクレームが出続けているように、コンマ1秒を争う競技なので、他の競技では許されるちょっとした間違いや地図の読みにくさがここでは大きく問題となる。作図、コースコントロール、現地役員の対応、メディア対応とうに多大な配慮が必要となる。
スプリントは他の競技と違って走るトレーニングさえすれば日本人も対応できるようなことが言われていたが、実際は街でのオリエンテーリングの開催のない日本人にとって他の競技と比較してのメリットがあるというわけではない。
一方足の速さで言えば、日本のトップ選手と海外のスプリンターのトップでは3000mで1分程度の差がある。単純に15分走れば黙っていても2分弱の差がつく計算である。
ミドル
ウイニングは25分から35分。
この間を常に集中してナビゲーションをすることが要求される。地図を見ないで走る場面が入っていてはいけない。ルートチョイスはあまりない。スケートや体操でいう規定演技と考えても良い。少しのミスが命取りになる。日本では距離をあわせるだけでコースについてはミドルとは名ばかりの大会も多い。
時間をかけてのルートチョイスや立ち止まって考えることはほぼなく、常に一定のペースで走りきることになる。
以前はロングと比較してキロ当たりタイムが長くなる傾向にあったが、いまやフランスのような特殊な場所でない限りほとんど変わりがない。
ロング
ウイニングは大会、男女によって異なる。
ミドルの要素に加えて、1-3kmのロングレッグのルートチョイス、最後まで走りきる持久力が要求される。ロングチャンピオンこそが真のチャンピオンといわれるゆえんである。
コントロールに到達することよりもその途中の走り方が問われるので、コントロール位置はミドルのように常に難しいわけではない。
ルートチョイスは単に大きくどっち回りかというような単純なものではなく、同じような回り方に見えても、距離や登り、走りやすさを考えてその中でもより吟味されたルートを見つけだす必要がある。ミドル部分は普通に走れるのは当たり前でロングレッグの走りかたが勝負の分かれ道となる。
リレー
リレーは以前と比較してウイニングタイムが短くなっている。全体のコンセプトはミドルに近いが、単純な追従を避けるため一部ルートチョイスが用意される。また同じ目的で最近は藪が多いなど見通しの悪い場所が好まれる。
集団で走るため、ミドルのように自分の決めたルートではなく人のルートに合わせて走ることも要求される。したがって高速でラフなオリエンテーリングとなる。ラフになってミスが多少増えてもタイムがあがるのは集団で多くの目を使ってアタックが行われることにある。したがって単独になって多くの目がなくなってしまった場合にはオリエンテーリングを個人のリズムに切り替える必要がある。
個人競技の技術力とともに臨機応変の対応力が求められる。