3年間の集大成。その1

WOC日本チーム コーチの吉田です。一年ぶりの更新です。

いよいよ世界選手権がはじまります。

ヘッドコーチとして代表チームに再びかかわりだしてから3年目。やっと自前のチームができた感があります。

1年目は選手の育成というよりは選ばれた選手に対して練習の場所を与えるというのが目標でした。したがって名前はコーチでしたが、コーチというよりはスケジュールマネージャーとして活動しました。

当時はJOAによるスケジュールされた練習は行われておらず、選手が練習を企画するところから始めるような状態でした。強くなるという事に関しては組織への信頼感のない時期でした。そんな中でふって沸いたようにコーチが決まっても当然信頼感はありませんし、特に実績もないコーチには言葉の重みもない時期でしたので、練習のバリエーションは示したものの、練習の中身については選手に任せ、機会を作ることに集中しました。

 この年伝えたかったことは、組織はちゃんと先のことを考えて計画的に練習の機会を用意するので、選手は選手の本分(練習)を行い、決定権はコーチにもどせというメッセージでした。

 ただこの大会では、仕事の関係で大会同行できなかったこともあり、最終的な選手起用に際しても、自分の色を出せず、非常に中途半端なものになってしまいました。

2年目は昨年の流れをさらに徹底し、早期にスケジュールを提示して、選手を練習に専念させるべく、選手選考前からほぼ毎週のトレーニングを用意しました。

早期から一緒にトレーニングすることで選手の状況を把握することができるようになりました。ただこの年もまだ選手のプライドを尊重し、アドバイスもフランスを走るための応用的な方法として、地図とのコンタクトを増やして、技術を上げていくことを促しました。

 それ以前にずっと言われてきた「世界と戦うためにフィジカルを鍛えるべきだ」という掛け声が一人歩きしたことで技術をおろそかにし、選手が下手になっているという確信が私自身にはあったものの、それを声高にいうにはお互いにまだ抵抗のある時期だったと思います。

 この年は、トレキャンで課題を明確にし、それにそったトレーニングを行い、限られた条件の中での準備としては非常に良いものができたと思います。その線で言えば、選手も私自身もよく頑張ったと思っています。

しかし、それでも結果がでなかったことは、私にも選手にも当たり前のことを確認させてくれました。それは、うわべだけつくろっても、基礎がしっかりしていなければ世界ではまったく戦えないということでした。当たり前のことができていないのがわが国のエリート選手でした。

(次回に続きます)